初代松五郎
初代松五郎は正直者で、一生懸命働き、商業見習いをした。成年の頃には身長五尺八寸(175cm位)体重二十五貫(93kg位)ぐらいの巨漢となって、素人相撲の大関を勤めたというほどである。
白旗神社に弁慶の力石と称する巨石がある。ある時、某世話人が「今の若者は意気地がない、我々の若い時はこの力石を手玉にとったものだ、誰か出来るものはいないのか」と言って、「もしこの石を五回石段を上下するものがあれば、ざる蕎麦をその人の身体の高さまで振る舞う」と青年の意気地のないのを嘲笑った。青年の一人が急いで松五郎を呼び出しこれに挑戦した。
松五郎は力石を担いで石段を上下すること七回に及び、ざる蕎麦を身の丈ほど買わせて、皆に振る舞ってその人の鼻をあかしたと言い伝えている。(山本悦三 世紀の旅路より)